No308南ア・椹島より荒川岳~赤石岳縦走 初日は移動日 2日目は千枚小屋まで
(2日目)椹島ロッジ(1123m)~千枚小屋(2610m) 静岡市葵区 2013・8・19 (月)天気・晴れ



山仲間の女性3人と以前から計画していた荒川~赤石縦走ですが、直前に2人が都合で不参加になり、私もいろいろあって最悪の体調です。
しかしJさんは「この機会を逃したらこの先行けなくなるかもわからないので、2人でもいいやん」と意欲満々。
その意気込みに負けて出発します。
4:30出発。新東名の開通で南アの南部は少しは近くなりました。
今日はお盆休みの最後の日で渋滞が予想されますが、一部でノロノロ運転があったもののまずは順調で、浜松SAで昼食を仕入れます。
島田金谷か新静岡ICで高速を下りますが、新静岡の方が登山バスのりばの畑薙第一ダムには距離も短く早く着きます。
しかし大井川沿いの曲がりくねった道を国道フアンとしては以前から走ってみたかったので、島田金谷ICで下車します。
時刻は9:10、途中で合計約1時間休憩していますので、実走行3時間40分です。飛ばし過ぎたかな?
大井川の蛇行に沿っているので実によく曲がっています。川根本町で豊橋からのR362に乗り、千頭からは県道77・388と移りますが、山と大井川に挟まれた細いカーブ連続の山峡の道は、実に楽しいです。
井川ダムからは静岡の方から走ってくる県道60に乗り、11:20畑薙ダムの夏季臨時駐車場に着きました。
お盆休みは終わりなので、駐車場はかなり空きが目立ちます。

小さな小屋とテント張りの簡単なバス乗場です。バスといっても南アルプスの南部の山一帯を所有する東海フォーレストの送迎用のバスで、コース内にある東海フォーレスト管理小屋の宿泊者のみ乗車することが出来ます。
次のバス(マイクロバス)は12時発なので、SAで買ってきた弁当をいただきます。

12時発のバスはほぼ満席で発車、畑薙ダムの途中で県道は終わりゲートがあります。ここからは東俣林道になりますが、一般車は通行止めです。
未舗装の林道は畑薙ダムに流れ込む大井川に沿って蛇行しながら走ります。
運転手さんはとある場所で車を停め、「あれが赤石岳です」 うわ~高いなあ!一斉に声があがります。
端正な三角錘の美しい山容です。

ガタガタ道に揺られることちょうど1時間、椹島ロッジ前に着きました。今夜はここでお世話になります。

(株式会社 東海フォーレスト椹島事務所)の看板が上がっています。

ここは平地の広い敷地なので建物は奥に広がり、3棟あるうちの案内された部屋は6畳三間続きで畳敷き、定員12名に対し8人です。フトンの質も良く、広々として安眠できそうです。
かっては電源開発工事の飯場だったのを、工事終了とともに登山者用に転用されたとのことです。

温泉ではありませんが、お風呂もあります。さすがここは南アの登山基地だけあり、皆さん行き先はバラバラです。

ゆっくり汗を流してから、まだ時間が早いので外に出てみます。



写真家、白簱史郎氏の立派な記念館があります。氏の多くの山岳写真が展示されていますので、ゆっくり観賞させていただきました。。

受付のある広いロビーの壁に掲示してある、興味ある記事を見つけました。浜名湖あたりから北東へ、南アルプスから八ケ岳あたりを通り、浅間山方面にかけて年間3ミリ以上隆起しており、一方阪神間や中京・首都圏などは年間3ミリからの地盤沈降が続いているそうです。今も日本列島は活発に隆起、沈降を繰り返しているのですね。
かって琵琶湖は三重県の伊賀盆地あたりにあり、ゆっくり北に移動して現在の位置にありますが、今も北に移動、いずれは日本海とつながってしまう、と聞いた事があります。もちろん人類はその頃は滅亡しているでしょう。

5時になりましたので夕食をいただきます。

[本日の走行データー]
姫路東IC4:40(山陽・中国・名神・東名・新東名)島田・金谷IC⇒R473・362⇒県道77・388・60畑薙ダム駐車場11:30 (走行距離 約520キロ)
送迎バス12:00⇒椹島ロッジ13:00
名神~新名神~東名阪~伊勢湾岸~東名~新東名の方が距離短く早いのですが、うっかりミスです。
(二日目)
昨夜はよく眠れたので気持ちよく目覚めました。5時から朝食です。困ったことに何故か山に入ると食欲が減退、ミソ汁をご飯にぶっかけ、ネコご飯で喉に流しこみます。自称、そんなに食べなくても平気で歩ける省エネ登山です。

5:40支度を済ませ出発です。
広い道を北に歩くと登山口があり、左に入ります。

少し坂を登ると東俣林道に出るので、林道を400mほど北に歩くと滝見橋です。登山口は橋の手前左にあり、千枚岳の標示になっています。


大井川の支流、奥西河内沢を吊橋で渡ります。

尾根を巻きながら急な道を登ると送電線の鉄塔があります。10分ほどで先ほどの送電線の下を通ると大岩にぶつかります。岩頭見晴しです。


始めて林の間から山が顔を出してくれました。丸山、それとも東岳?

すぐに視界は閉ざされシラビソ林を抜けると滝見橋で別れた林道に出ますが、林道から私たちに向かってカメラがまわっています。
林道に上がると「お疲れ様です。どちらからですか?」カメラを操作しながら女性が尋ねます。
「姫路から?それは遠い所からようこそ。南アルプスの南部は始めてですか?目的はございますか?印象は?・・・」矢継ぎ早の質問です。カメラを見ると、テレビ静岡です。

「テレビ静岡のキー局はどちらですか?」 「フジテレビです。姫路だと関テレさんですね」
会話を聞いていたJ さんが何を思ったのか「私達変な仲ではないんです。一緒に来る予定だった女友達2人に急用が出来たので、2人できたのです」 「いいえ、あやしい関係の不倫登山です」と私。話は面白くしましょう。
「心配ご無用です。フジは関係なくテレビ静岡ローカルですから。それに編集しますからね」
まだ若い女性は笑いながらにっこり。とってもカワイイ女性です。少し離れた林道に男性が2.3名と局の車が停まっています。
林道を右に少し歩くと階段があり、登ると尾根に出ます。少し進むと小高いピークがあり、三角点があります。
三等三角点小石下です。

退屈な林の中の道は、先ほどの林道を再び横断、道路の左に出ます。
ブナやナラの林が続き視界はありませんが、気持ちのいいみちが続きます。南ア南部の森林限界は2800mあたりで、北アの2400~2500mに比べると気温が高く雨が多いせいです。

三角点からは勾配が緩くなり広い尾根道になります。美しいシラビソ林はやがて蕨段に着きます。
三等三角点があるのですが、うっかり通過です。ここから少し登った所に素晴らしい展望の見晴らし台があります。
10:05見晴らし台に着きました。大勢の人が休憩されています。西側の展望が広がり、中央が南ア南部の最高峰東岳(悪沢岳)で、右が千枚岳。左が中岳でしょうか。

中央が小赤石岳で、左奥に頭が見える山が赤石岳です。

先ほどのテレビ静岡の御一行様の姿もあります。学生さんが千枚小屋あたりにシカ除けの防護柵を設ける工事をするので、その取材だそうです。
地形図では林道はここからさらに上に向かい、駒鳥池近くまで伸びていますが、機材もある関係で登山道と接近しているあたりまで車で登られるのでしょう。
そういえば椹島ロッジで沢山の学生さんが泊まられていましたし、今も前後して学生さんは元気に登らています。
引率されているリーダーの方は山小屋関係者の人ですが、出身は岡山で、姫路あたりはよくご存じで話が弾みました。
再び美しいシラビソ林に入り、広い尾根道を登ると駒鳥池です。池の傍まで降りられますが、上から眺めるだけでパスします。見た限り水はないようです。


このあたりで2420m、千枚小屋の2610mまであとわずかです。
相変わらずシラビソの原生林が続きます。やっと7分割の道標が長かった行程の終わりを告げています。

森林限界が近ずくと高山植物が見られるようになりました。


11:45やっと千枚小屋に到着です。ちょうど6時間かかりましたが、標準タイムが6時間50分なのでまずまずです。


もともと軽量人間ですが年間を通じほとんど体重変化がありません。しかしいろいろ事情が重なり出発前には4キロも激減、12キロのザックの重いこと重いこと、参りました。
ところでまだ12時です。あと3時間余りで次の中岳避難小屋まで行けますが、相棒さんもお疲れの様子。
それに避難小屋は管理人在中ですが食事がありません。ここでのんびりすることにしましょう。
この千枚小屋は2009年火災により焼失、昨年2012年7月に新しく建て替えられたばかりで、3階まで部屋があります。

持ってきたもので食事をすませ、夕食までタップリ時間があるので一休みしてから散策します。
午後からはボランテイアの学生さんたちにより、シカ防護柵の設置工事が始まりました。
千枚小屋の周りのお花畑もシカの食害を受け、年々高山植物が減少しているそうです。
お花畑が消滅した跡にはシカが食べないマルハタケブキが繁殖するとか。学生さんがいるあたり一面もマルハタケブキのようです。




テレビ静岡さんも工事風景をカメラに収められています。
カメラを肩にしている男性の向こう側の女性に、インタビューを受けました。

5時間をもてあましましたが、やっと夕食の時間です。

夜は混雑もなく、布団1枚に1人でゆっくり休めました。
[本日のデーター]
椹島ロッジ5:40→滝見橋・登山口入口5:50→No22鉄塔6:45→小石下三角点7:50→見晴台10:05~10:15→駒鳥池11:05→千枚小屋11:45
(歩行距離 約9・3キロ 累積標高差 約1690m)

