No305 福井・平家の隠れ里 姥ケ岳でクマに出会う
能郷白山の北5キロ余りに位置する姥ケ岳は、福井経由で早朝発の日帰り圏内の山です。
しかしゆっくり登山希望の相棒のため、土曜夕方発、福井で一泊の のんびり登山です。
宿で朝食をゆっくりいただき、7:05に出発、R158を大野市まで走り、岐阜県に入ると酷道になるR157を南下します。
日本各地はゲリラ豪雨に襲われていますが、この真名川ダムの水位は写真の通り。冠山や能郷白山あたりの県境の山岳地帯には あまり降っていないようです。
大野市のR158分岐より約26キロ走ると、平家平の標識がありますが、姥ケ岳の文字はありません。
R157から分かれた林道は、細いながらも舗装されていますが、右下を並行して流れる巣原川を渡ってしばらくすると舗装は切れ、一転悪路に変わります。
ヘアピンカーブ地点のみ簡易舗装されていますが、見事な悪路です。
突然前方のヤブからシカが飛び出してきてビックリ。あわててカメラを構えますが、見事なピンボケです。
国道から分かれて約5.7キロ、ようやくゲートのある林道終点に着きました。8:50です。
案内板
駐車場はゲート手前を左折、少し先にあります。9:05準備を済ませ出発です。
登山口は案内板の所にあります。
この姥ケ岳はその気になれば能郷白山と二座登山可能で、これまで能郷白山にきたさい、それぞれのメンバーさんを誘ったのですが、いずれもノー。
関西人にはなじみのない山で、山名も知られていないと思います。
少し歩くと林道を横断します。
このあたりは豪雪地帯で、雪で幹の曲がった細いブナ林に入ると下草がビッシリ。よくみるとこれは草でなくオーレンのようです。
また登山道脇には延々と満開の花をつけた山アジサイが迎えてくます。
林道を横切ります。姥ケ岳山頂約3.3キロ、ブナ林約0.5キロの道標があります。大トチノ木は林道を歩くこと0.6キロです。帰りに寄って見ましょう。
このあたりのブナはまだ細い木が多いですが、登山道入口あたりのブナと違い、幹は雪で曲がることなく、しっかりと直立しています。
再び林道に出ます。ブナ林0.4キロ、姥ケ岳山頂が2.9キロとありますが、前の道標と比べると計算が合いません。
坂を登っていくと、ブナ林の下は一面はオーレン畑です。
オーレンはどんな花か知らないので、少しでも残っていないか探しますが、開花時期は5月頃なので、残っているはずはありません。
それでもキョロキョロしていると,種子らしきものを見つけました。
これだけビッシリとブナ林を覆っていると、ブナの新緑と満開のオーレンは見事でしょうね。
絵心に目覚めた相棒は、しゃがみ込んで何やらスケッチしておられます。
ブナ林が終わると、登山道は緩やかに下ります。
かすかに水芭蕉群生地の文字が読めるコルに着きました。
しかし水芭蕉のシーズンが終わると夏草や灌木が我が者顔に茂っており、どのあたりに群生しているのやら、その片鱗をうかがう事もできません。そういえば同じ大野市の取立山も同じですね。
市のPR誌の写真を拝借します。ブナの新緑にオーレン畑、そして水芭蕉とシーズン中は賑わうそうです。
ここから姥ケ岳まで標高差240mほどの登りですが、部分的にですが夏草が茂り、踏み跡が薄い所があります。水芭蕉まで来て引き返す人が多いのでしょうか。
順調に登っていると、突然左のヤブがガサガサと音をたてたかと思うと、ウ~と唸り声が聞こえてきました。
そしてヤブの中を、黒っぽい大きな物体が登山道と平行に前方に駆けていきます。クマです。
クマは少し先でピタリと止まり、ひときわ大きな声でウ~と唸っています。ヤブの中なので顔ははっきりわかりませんが、こちらを見つめているのでしょう。
不思議と冷静で恐怖感はありませんが、さてどうしょう・・・頂上はあと少しなので引き返すのももったいないし、第一下手に動くと襲われるような気がするので、クマがどこかに行ってくれるのを待つしか方法が浮かびません。
黙っているとまずいので歌でも唄ってやるか、とちょうど傍に枯れ枝が落ちていたので相棒に拾ってもらい、立木をたたいて伴奏も入れます。
あとで考えると、棒をふりまわすという事はクマにとっては攻撃されるものと勘違いし、襲われる可能性がありましたね。
どのくらい時間がたったのでしょうか、やがてクマは静かにヤブの中に消えて行きました。ア~ア助かった!
しかしまだどこかで待ち伏せしている様な気がして、しばらくじっとしています。証拠写真でも撮っておくべきだったな・・・・
出発します。樹林帯で展望のない道をゆっくり歩き11:35山頂に着きました。水芭蕉群生地が10:30なので、クマ騒動を入れて1時間ほどかかりました。三角点は二等で点名は小沢です。
まわりは樹木で囲まれ、北東方向のごく狭い範囲のみ刈りこまれています。眼下に笹生川貯水池が、そして左に荒島岳が見えます。その後方に白山が位置しているのですが、あいにく雲で隠されています。
南に向かって踏み跡が見えます。
たどっていくとパッと視界が開け、目の前に6月に登ったばかりの能郷白山がどっしりと腰を据えています。
能郷白山から姥ケ岳を撮った写真があります。これが姥ケ岳です。荒島岳は切れていますが右方向にあります。
朽ちはて散乱していた標示板を拾ってきます。能郷白山展望所?
ここで食事をとり12時ジャストに下山にかかります。もうクマちゃんはお昼寝の時間でしょう。12:50水芭蕉群生地を通過します。
オーレン畑です。
③の林道横断地点です。ここで登山道と分かれ、林道を大トチの木に向かいます。
トチノ木広場です。ベンチも設置されています。
広場から陰気な雰囲気の漂う雑草の茂った踏み跡を進むと、大木と祠のようなものが見えてきました。
大トチノ木です。相棒さんに手を広げてもらいますが,デカイです。
傍の祠は屋根着きです。
時刻は13:50です。さあ帰りましょう。林道歩きを30分ほどで駐車場に戻ってきました。
靴を履き替えているとクマ除けのスズの音が別方向から聞こえてきました。単独の男性でしばらくお話をさせていただくと、地元の山岳会のMさんで、この山域のクマは2頭が確認されているそうです。
近くに平家の住み家だった平家窟があるとのことで寄って見ます。ところが正確な場所を聞いていなかったのでどんどん林道を進んでいくと、洗い越しに出ました。水量が多く靴を脱がないと無理です。
沢の上流を見ると岩がゴロゴロしています。まさかあの奥の方に・・・
しかしすぐ近くと言っておられたので行きすぎのようです。バックしましょう。注意してキョロキョロしますが、それらしき所はわかりません。結局駐車場まで戻ってきました。
ついでに駐車場のすぐ下の帰り道に雨量観測所があるので寄って見ます。
このあたりの気象庁のアメダスは大野しかないはず、どこのでしょうか。
ここに降る雨は能郷白山からの温見川と合流して真名川ダムに流れ込み、大野市で九頭竜川に合流します。
ダム管理上、上流に降る雨を把握するための雨量計のようです。
14:50姥ケ岳を後に、平家平を下って行きます。
尚平家平とは、地形図で見られるように東西南北約2キロ、標高600~1200mのなだらかな斜面で、昔平家の落人がすんでいたと伝えられています。
姥ケ岳は、昔ある部落で疱瘡がはやり、おばあさん1人を残して皆死んでしまいました。そこでおばあさんは麓の村々を回り助けを求めたところ、ようやくある集落の人に助けられ、そこでお礼におばあさんの持っていた土地を譲ったところから姥ケ岳の名前が付けられたとか、そんな一説があるそうです。
凸凹道を下りR157に出ました。6月の能郷白山に続き、今回も時間の読めない岐阜県側に下る事にします。
福井県側はほんの一部分だけですが拡張工事が行われており、新しいトンネルが工事中です。
しかし岐阜県の能郷あたりまではの相変わらずの酷道です。県境の温見峠です。能郷白山の登山者はもう帰ってしまい道路は閑散としています。
”落ちたら死ぬ”の区間を通過、能郷集落に出ます。今日はうすずみ温泉をパスし、R157を南下、県道23からR21へ。大垣西ICから東海環状に乗り21:20自宅に帰ってきました。
7月26日から3日間北岳の予定でしたが、直前になって26日に急用が出来中止。
結局福井の山行になってしまいましたが、登りたかった山だけに満足です。
これで福井のこれと言う山はほとんど登りつくしてしまいました。
[本日のデーター]
登山口9:05→水芭蕉群生地10:30→姥ケ岳11:35~12:00→水芭蕉群生地12:50→大トチの木13:40~13:50→駐車場14:10
出発14:50⇒R157⇒県道23⇒R21⇒大垣西IC(東海環状・名神・中国・山陽)姫路東IC21:00
(走行距離2日間 約725キロ 歩行距離 約11.2キロ 累積標高差 約750m)