No286雲上の庭園・土佐矢筈山と岩峰の二ツ岳


紅葉の頃に予定していた土佐矢筈山ですが、12月に入ってようやくRさんと日程の調整がつき、うまくすれば樹氷が見られるかも、と思っていたところ、県境の山越へのR439が冬期閉鎖に入ってしまいました。
それじゃ春のゴールデンウイークには絶対に決行しようと約束、そしてその日がやってきました。
27日 勤務のRさんの帰宅を待って19時出発、今夜は琴平温泉泊りです。
自宅から琴平の宿まで約1時間半、琴平から登山口まで1時間半あまりみていますが、自宅を早朝出発で登山口まで直行しても、そんなに大差ないと思います。
しかしゆとりを持って前夜出発とします。
宿を6時に出発、R312からR32に入り、香川・徳島の県境を猪ノ鼻トンネルで抜け南下、大歩危・小歩危にさしかかります。
大歩危の「まんなか」でトイレ休憩します。ここは舟下りの乗り場になっています。
毎年このシーズンはこいのぼりが川をまたいでゆーらゆら、今年も元気に川の上を泳いでいます。

上名交差点で左折、県道45に入り、山越えして西祖谷村で県道32に入ります。
ついでですから「かずら橋」を覗いてみますが、早朝のこの時間観光客はなく、聞こえるのは流れだけです。

曲がりくねった道はやがてR439にぶつかるので右折します。
左折すると寒峰や三嶺の登山口前を通り、剣山の見ノ腰に至ります。
このR439はヨサク国道とも呼ばれ、三大酷道の一つとか。確かに地図を見ても細い曲がりくねった道が
標高1120mまで約14キロを登り、高知県に降りて行きます。
酷道は好きな方で、期待?しながら途中の小さなな集落を抜け、坂をどんどん登っていきます。


退避所などほとんどなく、対向車が来ないことを祈るばかりの超狭路ですが、国道といっても林道と変わりません。
一般に国道と言えば最低でも2車線の整備された道を想像しますが、特に300番、400番の山間部を走る国道は林道と変わらない路面状況の所があり、また林道から名前だけ昇格した国道もあります。
7:35、途中の道から想像もつかない明るく広い開放感あふれる京柱峠に登り着きました。停まっている車はありません。高知県側から徳島県を見ます。

徳島県から高知県です。右の建物は峠の茶店で、壁にメニューがかかっています。まだオープンしていませんが、こんな酷道を登ってくる車があるのでしょうか?
バイクが1台高知県側から登ってきました。



茶店の横に小さな花壇があり、只今ヤマシャクが満開です。

7:55出発します。東に向かう林道を2~3分歩くと、小檜曾山(こびそ)登山口があります。
小檜曾山は矢筈山のずっと手前の山です。

樹林帯の中の道は途中何か所かの急登もありますが、40分ほどで道標のある二又に着きました。原始林コースは帰りに歩くとして 左の一般道に進みます。

9:00禿げた道標のある大岩に着きました。よく見ると(小檜曾山モミ千本)と読めます。そういえばこのあたりは背の高いモミの木林です。

ふと振り返ると立木に左原生林の標識があります。ここが分岐点で 下山は左の道に入ります。

モミの林から雑木林を抜けると、広大なササ原に飛び出しました。うわ~キレイ! 思わず歓声を上げます。

ササ原の緩い坂を登ると分岐があります。左が矢筈で右は標示がありませんが小檜曾山でしょう。先に小檜曾山に行きます。

小檜曾山はどれかな?よ~く見ると正面中央の小高いピークに標識が見えます。

5分ほど歩くと小檜曾山です。時刻は9:35 峠より1時間40分かかりました。

三角点は二等で点名は笹です。

素晴らしい眺めです。東方向に三つのなだらかなピークが見えますが、中央が矢筈山のようです。
青空のもとで快適な草原歩きが期待できそうで、心が弾みます。

元の分岐に戻り、矢筈を目指します。二つ目のピークに看板が見えてきました。小檜曾山1541mとあります。あれ?
さっき小檜曾は登ったはずなのに・・・このあたりの地形図は無名峰になっているので、正確な山名はわかりません。

小檜曾山の上に何やら書いてあるので近寄って見ると、ニセと書かれています。誰かがマジック書しているようです。

ニセ小檜曾から下ると、左に天狗塚の三角錘のピークと、そこから西にのびる牛ノ背の尾根が視界に飛び込んできました。
右の三つ並んだ真ん中のピークが、矢筈山です。

北側の視界が開け、懐かしい祖谷の山々が連なっています。祖谷にも矢筈山があり、区別するためこちらは頭に土佐が付けられています。
四国には五つの矢筈山があり、向こうの矢筈が1848.5mで四国の山の標高順では11位。こちらの矢筈はぐっと落ちて32位です。阿波の国に位置することから阿波矢筈山とも呼ばれるようです。
向こうの矢筈にも登りましたが、矢筈が二つ相対するなんて珍しいですね。

快適な草原が続きます。茶色い低木はコメツツジです。画面左の矢筈が近ずいてきました。

ササ原の所どころに巨岩が横たわっています。

中津山をバックに三角形の大きな岩が二つ並んでおり、踏跡が付いています。ついつい登りたくなりますね。

頂上が見えてきました。

10:40 土佐矢筈山頂上です。山頂は狭く灌木が茂り、残念ながら360度の視界は得られません。
三角点は三等で点名は矢筈山です。

北西方面は灌木で遮られていますが、東方向の展望は雄大です。

三角形の天狗塚から牛ノ背にかけてのアップです。右後方は三嶺です。

三年前、三嶺から天狗塚へ縦走した時の写真です。
天狗塚はコメツツジで有名です。茶色い灌木はコメツツジ。咲いている時に歩きたいものです。
天狗塚は美しい端正な三角形で、ホレボレします

天狗塚頂上から見た牛ノ背。のんびり歩きたくなります。

正面の山もよく登られる綱附森(1643.1m)で、ここから登山道が延びています。

展望を楽しみながら食事にします。一人の登山者にも合わなかったのに、急に賑やかになってきました。
11:40素晴らしい展望に別れを告げUターン、そろそろ下山しましょう。
右寄りの小さなコブを越えます。ササ原の中をこちらに向かってくるコメ粒のような人影が見えます。後方の山は一昨年登った梶ケ森1400mです。

ササ原の中にほぼ一直線に並んだ岩。

私の後にも続いていますが、不思議ですね。

地形図1541mのピーク。

傍に来ると、結構な登りです。

P1541をすぎるとニセ小檜曾の登りです。山頂に人影が見えます。

大勢の人が食事中のニセ小檜曾を通過、小檜曾山の標識が見える位置まで帰ってきました。
中央左寄りにある おわんを伏せたようなピークです。後方の梶ケ森がここまでくると大きく見えます。
南大王の福寿草を見に行った際、おまけとして登った山です。

12:35 小檜曾山分岐を通過します。直進が小檜曾山で下山は右です。

分岐から5分ほどで美しいササ原から一転、樹林帯に入ります。

12:50 モミ千本の大岩まで降りてきました。帰りは左の原始林コースに入ります。

原始林だけあり あちこちに朽ちかけた倒木があります。

木々はまだ冬枯れ状態です。

一か所だけ谷を埋め尽くすコバイケソウの群生地があります。

13:15一般道との合流地点です。

あとはひたすら下って13:45、京柱峠に下ってきました。高知県側から自転車で登ってこられた男女数人と、浜松ナンバーのバイク2台、滋賀ナンバーの車が止まっています。

ところが次から次にバイクや車が到着、峠はいっぱいになりました。
遠方のナンバーが多く、大勢の人で峠は賑やかです。
これといった目的はなく、単に峠まで来たという人地元の人もおられます。
峠の茶店も開店しており、なるほど、人気ある峠のようです。
しばらくいろんな人とお話をさせていただき、14:00峠を後にし、登ってきた細いクネクネ道を引き返します。
尚あとで地図を見てわかったことですが、R32に戻るにはR439を高知県側に降りても距離は変らないので
違った景色が眺められたのに、残念なことをしました。
池田町まで引き返し、今夜は大歩危祖谷阿波温泉・あわの抄泊りです。
さて明日はどこの山に登るか・・・ゆっくり考えましょう。
[本日のデーター]
京柱峠出発7:55→原始林コース分岐8:35→モミ千本9:00→小檜曾山9:35→ニセ小檜曾山9:50→矢筈山10:40~11:35→ニセ小檜曾山12:25→小檜曾山分岐12:35→モミ千本・原生林コースへ12:50→一般道合流13:15→京柱峠13:45
(歩行距離 約10キロ 累積標高差 約760m)

