三日目 間ノ岳から大門沢小屋まで
天気・快晴後ガス
4:50 快晴の空、御来光と富士山。左 北岳のシルエットが美しい。
雲海に浮かぶ富士山をアップで。雲の盛り上がりが面白い。下界は曇天だろう。
朝の北岳山荘
5:30 富士山を左にお供をしながら、さあ出発だ。今日は爽快な3000m級の峰を結ぶ稜線歩きだが、10キロを越すロングコース。気合を入れて歩こう。
手前は中白根山、中央が間ノ岳、左の凸凹が農鳥岳だ。
中白根山手前の小ピーク、中津峰。
威容を誇る北岳。北岳山荘も見える。右後方は鳳凰三山。
北岳から首を左に振れば仙丈岳が、その右は鋸岳からきれいな三角錘の甲斐駒ケ岳。
仙丈岳をアップしてみると、はるか後方に槍~穂が見える。
西の伊那谷を挟んで横たわるのは中央アルプス。右の方に木曽駒,前岳、尖った宝剣が見えるが,檜尾・熊沢・東川・空木と続く山頂は、残念ながら同定出来ない。右後方は御嶽か・・・
15分ばかり展望を楽しみ、前方の中白根山から間ノ岳へ向かって出発。右後方に塩見岳が覗く。
6:50 3055mの中白根山に着く。ケルンの後方は仙丈岳。甲斐駒に雲がかかりだした。
先ほどの中白根とほとんど展望は変わらないが間ノ岳がぐっと近づく。左端は富士山の裾野。
7:45 仙丈岳をバックにした三等三角点、点名相野岳の間ノ岳に着く。日本で4番目に高い山だ。
ここまでくると農鳥岳が手に取るように見える。左端丸い山が農鳥岳。写真での確認は難しいが、手前の尾根の一番高い峰が西農鳥岳。
西の3050mに対し、本峰は3025.9mと低い。しかし三角点は低い方の本峰に設置されている。だが農鳥に向かうには、写真のように一度標高差400mほど下って再び登り返さねばならない。
少し右に首を振ると、荒川三山方面の視界が広がる。
パノラマ写真
振りかえって見る北岳は、随分遠くなった。
ここで食事を済ませ、去りがたい気持ちを振り切り8:25農鳥岳に向かう。右は仙丈岳。
農鳥岳に向かってどんどん下って行くと、稜線上に赤い屋根の農鳥小屋が見えてきた。
ガスの勢いが増し、富士山を包みだした。
岩のわずかな隙間に咲くシャクナゲも、もう終わりだ。
ミヤマハナシノブ?
9:40 農鳥小屋に着いた。人の気配はなく閑散としている。この時間だから当然だが・・・ガスが小屋まで忍び寄ってきた。
しばらく休憩している間に、完全にガスの世界に入ってしまった。
10:00展望を失ってガッカリだが、気を取り直して出発しよう。
イワキキョウ
100名山の間ノ岳で引き返す人がほとんどで、間ノ岳を出発してからまだ誰にも会っていない。
小さなアップダウンがあるが、今回に限って地形図不携帯で、どこを歩いているのかつかめないし、道標もない。
登山地図は持っているが、残念ながら登山地図では等高線が読めない。
少し歩いていると、瞬間ガスが切れた。振り返って見るあのピークが西農鳥岳?
岩稜地帯なので花はぐっと少なくなったが、所どころ狭い岩の隙間に力いっぱい花を咲かせている。
視界のないガレ場をひたすら歩いていると、久しぶりに人の話し声が流れてきた。
お話をすると、道標がないがこのピークの上が西農鳥岳、と教えていただく。
昨日会った人で、農鳥岳まで来て引き返されるそうだ。間ノ岳でUターンする人がほとんどだが、さすが彼は若い。
教えられたように登って見るが、山頂は狭く、視界ゼロの世界が広がっているだけだった。
少し進むと瞬間ガスが晴れたので振り返ってみるが、西農鳥岳は左のピークあたりだったのかな?
どうやら前方の平らなあたりが農鳥岳のような気がする。手前のコブから少し右の小さな岩のふくらみあたりでは?
山頂が見えた。
12時ジャスト、ついに農鳥岳頂上を踏む。ここは200名山で、三角点は二等で点名は山名と同じだ。
お昼にするが、ついにガスは晴れず、期待した展望は得られなかった。
12:30 さこれで3000mの雲上散策ともお別れだ。いよいよ恐怖?の長大な尾根下りが待っている。
岩場が続くのでお花畑は見られず、わずかな空間に力いっぱいはなを付けている。
チングルマ
ツガザクラ
アオノツガザクラ
イワカガミ 春のイメージだが、高山は夏がシーズンだ。
タカネヤハズハハコ
ちょっとしたお花畑のハクサンイチゲ
シナノキンバイ
タカネツメクサ
13:00大門下降点。ここで尾根から離れ、左折して大門沢小屋への急斜を下る。
ここには鐘を吊した鉄製の遭難碑が建てられている。これは遭難者の両親が安全登山を願って建てられたそうだ。
13:30しばらく休憩して13:30出発。ハイマツの中の急降下が始まる。ロープが何か所か設置されている。
所どころにお花畑が
ハクサンフウロ
キタダケトリカブトのつぼみ。まだ咲いているのにはお目にかかっていない。
タカネグンナイフウロ
ハクサンシャクナゲ
かなり下ったはずだが、まだ所どころに雪渓が残っている。ダケカンバの白い花は緑の中でひときは目を引く存在だ。
シモツケソウにタカネナデシコ
灌木地帯から高度を下げるにつれダケカンバの林に入る。
大門沢下降点からは早川町設置の道標が現れた。標高のみ記入されているが、目標となる地点までの時間の記入があれば、
ペース配分にありがたいのだが・・・始めて単独の女性が登ってこられた。何時間かぶりに出会った人だ。間ノ岳以南は極端に登山者が減ってしまう。
急降下の登山道は長時間歩いた足には結構疲れる。
先ほどの道標より300m程下るのに40分かかっている。大きな岩や木の根が多く、思うようにピッチが上がらない。
どこまで行っても同じような景色が続き、退屈してきた頃、はるか下の方から沢の流れが聞こえてきた。
しかし一向に沢の音との距離が縮まらない。うんざりしてきた頃、右から落ちてくる沢にかかった新しい木橋に出た。
さらに木橋を渡る。
少し傾斜が緩くなってきた頃、前方の木立の間から赤い屋根が見えてきた。
16:10 大門沢小屋にやっと到着だ。大勢の人でベンチは賑わっている。
失礼ながら大門沢小屋をひと目見た時、ひと昔前の山小屋に戻ったような錯覚を覚え、懐かしくなる。
今は新しく立て替えられた山小屋が多いが、昔の山小屋はこんなものだったなあ。
ところで今日もTさんは体調不良でかなりのローペース。一本道だし、ベテランさんが付いているので問題はないだろうが、とりあえず受付を済ませ、空荷でUターンし迎えに行く。食事は17時からなので、出来るだけそれまでに・・・とのことだが、何とかギリギリで間に会うだろう。という事で全員17時には揃って夕食をいただく。
[参考タイム]
北岳山荘5:30→中津峰6:10~6:20→中白根山6:50~7:05→間ノ岳7:45~8:25→農鳥小屋9:40~10:00→西農鳥岳10:55~11:05→農鳥岳12:00~12:30→大門沢下降点13:00~13:30→大門沢小屋16:10
(歩行距離 約10.8キロ 累積標高差 約790m)