No153 念願の谷川岳へ

出発の3日前になって急に谷川岳行きを決め、14日4:30に自宅を出発する。よくあることだが なんともあわただしいことだ。
行きは名古屋あたりでラッシュに引っかかるので、渋滞を避け北陸廻りにするが、山陽姫路東IC~関越道水上IC間だけでも717キロのロングドライブで、途中給油・トイレ休憩・食事を4回ほどとる。
食事といえば新潟県の長岡JCTから関越道に入り、越後川口SAで昼食をとったが、さすが震災地に近いだけあり照明は間引き点灯、自販機は照明を消し、弱冷房、もちろんムダなTVはオフと徹底している。
節電はもちろん必要だが、薄暗い照明では反面消費意欲がそがれそうな気もする。
13:00 水上ICを降りR291へ。 このR291は一ノ倉沢で行き止まりの盲腸線だ。
今日の予定は谷川岳のマチガ沢と一ノ倉沢を下から見上げる予定にしているが、6月31以降は夏山シーズンに入り、入山規制でロープウエー駅までしか車が入られない。
したがって約3.5キロ、片道1時間程の歩きとなる。
途中今夜の宿泊地の「土合山の家」に寄って見る。建物はかなり古そうだ。

13:30 ロープウエー駅に着いた。駐車場は建物の中だ。平日のせいか閑散としている。

水と雨具だけを持って出発。国道通行止めの看板とロープウエー。


急なヘアピンカーブを登りきると国道は狭くなり、左側に西黒尾根の登山道がある。
明日はこれを登るのだが、木の根がむき出しになった激登だ。

穏やかになったブナ林の中の国道を歩く。

25分ほどでマチガ沢出合に付いた。見上げる荒らしい岩壁の谷筋には、雪渓が残っている。
カメラアングルが悪く、雪渓が隠れている。残念!

この道にバスが走っているの?一ノ倉の岩壁を見たいが、片道1時間の歩きはしんどい、という人向けだ。

バスといってもこれ。(ロープウエー前で)

30分ばかり国道を歩くと一ノ倉沢が目に飛び込んできた。息を飲むほどの断崖絶壁が大迫力で迫ってくる。
国道291はここで終わり、山道となって清水峠を越え、新潟県南魚沼市に至る。トイレと駐車場が左にある。

この谷川岳は、統計をとりはじめた1931年から2007年までに790人の死者と8名の不明者を出しており「魔の谷川岳」ともいわれている。
はっきりと記憶に残っているのは、1960年の「宙吊り遺体収容事故」だ。
衝立岩正面壁で2人が滑落、ザイルで宙吊になって死亡が確認されたが近寄れず、自衛隊の狙撃特級資格者が出動、数百メートルからザイルめがけて2時間で1000発以上、小銃、機関銃などで撃ったが不成功。
その後ザイルと岩の接地部を襲撃、最終的には1300発以上を消費し、遺族が見守る中、谷に落下した遺体を収容するという、痛ましい事故だ。
またそれよりも以前の1943年、2人が絶壁の岩場で遭難死したが場所がわからず、行方不明。
それから実に30年後、偶然その岩場にたどり着いた登山者が白骨化した遺体を発見。
ポケットに残されていた10銭硬貨や過去の記録から遭難者が判明した、というやりきれない遭難事故もあった。
ギネスブックにも登録されており、これだけの遭難者を出した山は谷川岳がダントツらしい。
もっとも登攀中の事故が大部分だが・・・
明日はあの絶壁の尾根を往復する。


日本三大岩壁の一つを見て、満足満足、さあ帰ろうか。
15:00発のバスの発車だが、500円はチト高いので歩いて帰る。
山の家の前は上越線土合駅だ。
土合駅の下りホームは新清水トンネル内にあり、駅舎から10分ほど階段を下りないと到達出来ない「日本一のモグラ駅」として有名だ。
上り線は地上駅にあるが、複線化の際、地形等の関係で地下70mのトンネル内に設置、地上の上り線と81mもの高低差がある。
階段が462段、143mの連絡通路、さらに24段の階段を登り、やっと地上に出る。
エレベーターも予定されていたが、利用客が少なすぎるのだ。
渋川や高崎・前橋の町に出た場合、行きはよいよい帰りは怖い・・・・あ~疲れたなあ、となる。
電車は1日上下合わせて10本のみで、2010年度の一日平均乗降客は188人とか。
谷川岳やスキー客には一番近い駅だが、回数の多い上野方面からの電車は二つ上野よりの水上止まり。
そのせいで登山客は水上駅からバスを利用するそうだ。
レールファンとして是非下りホームに降りてみたかったが・・・・

土合山の家の夕食。お隣の魚沼産のコメを使われているのか、とっても美味しかった。
それにしても山合の宿で川魚ならわかるが、まさかカニを出されるとは意外だった。
オーナーは国道筋でドライブインも経営されているそうだ。

7月15日 晴れのちガス
5時 山の家出発。普段5時間ほどの睡眠だが、昨夜は7時間余りグッスリ眠ったので快調だ。
ロープウエー駅までは5分ほど。支度をすませ、急坂の国道291を登る。
登山指導センターで登山届を出し、昨日確認した西黒尾根の登山口を5:15出発する。

いきなりの急登を頑張ると、15分ほどで鉄塔を通過する。樹林帯の急登は、風も通さずに暑い。
単調な景色の中に 木に花が咲いたようなツルアジサイの花。

7:10森林限界を抜け、展望の開けた尾根に出た。

緑のササの斜面にはオレンジ色のニッコウキスゲが点々と・・・満開だ。
視界はモヤっているが、南の方に天神平のロープウエーの駅舎や谷川岳ロッジが見える。
右が天神山で展望台があり、ロープウエー終点より リフトで上がれる。左は高倉山でスキーリフトが架かり、天神平スキー場になっている。

クサリ場


右側はマチガ沢。すごい傾斜で落ちていく。尾根の向こう側に一ノ倉沢がある。
山頂はガスに包まれ、不気味な雰囲気さえする。

次のクサリ場に着く。






次のクサリ場が近付いてきた。斜面はキスゲの花盛り。


まだまだ規模は小さいが、クサリの連続。

7:55 P1516ラクダノコブに着く。いよいよ最後の岩場の急登だ。「まだ登るの・・・」

左下からマチガ沢沿いの巌剛新道が上がってくる。

ひたすら尾根を登る。








ガスが瞬間切れた。左の岩はザンゲ岩。 まだまだ先は長い。



下から見ると巨大なザンゲ岩だが、横から見るとこの程度なので、立ち寄らず通過。

双耳峰の頂上がやっと見えた。左が三角点のあった[亡失]トマノ耳(1963.2m)、右がオキノ耳(1977m)
一般に「トマ・オキ」の二つの耳を指して谷川岳と呼ばれているようだ。

トマノ耳(右)まであとわずか。雪渓が見えてきた。

四ノ沢頭の雪渓。

暑さと喉の渇きを覚え、つい雪渓の雪を掘り、中のきれいな雪をパクリ、カラカラにかわいた喉にウマイ!
が、福島第一原発から直線距離でわずか190キロ。と言う事は放射性物質の飛来は十分に考えられる。
そして・・・内部被爆しているかも・・・まあいっか、そのうちどうせ死ぬんだから・・・






10:20 高山植物の多いコースでキョロキョロ、雪渓でのお遊びを入れ、5時間かかったが、トマノ耳にようやく到着。1963.2m 三等三角点、点名薬師ケ岳があったが、今は亡失で盤石のみ置いてある。
盤石とは、標石の破壊や破損に備えて標石の直下に埋設されており、36㎝角で厚さが11㎝(三等の場合)あり、地表より60㎝ほどの地中に埋めてある。

10:30オキノ耳に向かう。稜線にはシャクナゲがまだ残っていた。


マチガ沢の雪渓

登りの樹林帯が切れ、尾根に出た途端に赤とんぼが乱舞していたが、赤とんぼが多く、この写真にも写っている。

10:40オキノ耳1977m頂上。トマの耳よりもこちらの方が高い。

朝が早かったので、ここで食事にしよう。弁当のおにぎりは だいたいご飯が固く まずいものだが、山の家のおにぎりは抜群に美味しい。確認したわけではないが、魚沼産の上等米を使っているのでは。
トマノ耳を見る。山名標柱と人影が見える。

昨日歩いてきたの一ノ倉沢出合が見える。→

11:15最後の行程の一ノ倉岳に向け出発。しかしあいにく北方向はガスで山容が隠されている。
はるか前方に鳥居が見えてきた。富士浅間神社奥の院だ。


11:25奥の院

岩稜のアップダウンの尾根は続く。ガスは深くなり視界なし。これは今歩いているあたりからの パンフレッドの一ノ倉岳だ。

最低コルに降りると険しい岩場はほぼ終わり、一ノ倉岳への高度130mの直登になる。6時間ほど歩いた足には結構キツイ!
登りきると急に穏やかな地形に変わり、前方のガスの中に赤いものが見えてきた。
一ノ倉岳避難小屋で、ドラム缶を半割したような建物で、収容人数3人のごく小さな建物だ。
12:30 1974.2m一ノ倉岳頂上着。素晴らしい展望を期待してきたが、残念なり!


せめて一等三角点谷川富士を、と探すが見当たらない。少し北に高い場所があるので行ってみたが 笹の中にキスゲガ咲いているだけだった。帰ってから調べてみると、山頂の標柱から少し縦走路を進んだ左手のササの中にある、とのこと。人の立ち寄らないササの中だろうか?それらしき踏み跡はなかったように思う。

12:45 視界がないので長居は無用、下山にかかる。
13:10 行きは通過したノゾキ。この小さな穴から?それともすぐ横のガケから?いずれにせよガスの世界だ。

クサリ場にさしかかる。帰りは登りなので安心だ。


ガスで現在地不明だが、コーヒータイムの大休止をとる。スタートすると、オキノ耳のすぐそばだった。
トマノ耳は通らず、下を巻いて肩の小屋に向かう。
14:20 肩の小屋に到着だ。

9時間の歩行、お疲れさまでした。この肩ノ小屋は谷川連峰で唯一の有人小屋だが、収容人数40人と小さい。予約していたので6人部屋が確保されている。寝袋なので、混雑時は8人くらいは詰め込まれそうだ。
ただ谷川岳の場合、ロープウエーでオキノ耳まで登って帰る日帰り組が多く、宿泊する人は少ないように思う。
夕食は5時からだが、食堂で長々と宴会を開いているので、4時半過ぎには食事をだしていただく。

小さな小屋で談笑室といった部屋はなく、TVもない。また洗面所もなく,歯を磨くときは水をもらい、外で適当に、ということか。
食事を済ますとすることもなく、部屋に入り寝袋の上で横になる。
日頃から短時間睡眠なので、いつも山小屋に泊まると長い夜を朝までどう過ごすか、が悩みの種。
珍しく昨夜はよく眠ったので今夜は眠れず、朝までが なが~かった。
朝食は5時だが、4:40食堂に行くと、すぐに用意をしてくださった。
この小屋もごはんが美味しい。

5:25準備を済ませ出発。今日は天神平まで下り、ロープウエーで下山のラクチンコースだ。
最初は階段や石のゴロゴロした歩きにくい道だ。
10分ほどで天神ザンゲ岩に着く。登りの西黒尾根には単なるザンゲ岩があったが、区別するため天神尾根の天神が付く。

遠くなる谷川岳。方位盤が見える。

谷川岳南斜面のササがとってもキレイだ。右のコブは西黒尾根のザンゲ岩。

5:55 天狗のとまり場の大岩に着く。朝のさわやかな空気を吸って、コーヒータイムとしよう。

天神平方面は朝モヤの中。右天神山、左高倉山で、その谷間に谷川ロッジやロープウエーの建物がかすかに見える。

美味しいモーニングコーヒーをいただいて6:20出発。
6:45 収容人数10名の熊穴沢避難小屋着。

いわお新道を分けるが、ヒルがいるとの注意書あり。

さよう~なら、谷川岳とキツかった西黒尾根。

桟道がつづくようになる。デジカメの調子が悪くなり、気をとられているうちに、天神山に行く分岐をうっかり通過。天神平に付いてしまう。右ロープウエー駅で、左はリフト乗り場。

7:25リフト乗り場着。 予定では直接リフトの頂上に出て、下りだけリフトに乗るつもりだったが、往復しようか。 標高差170mほど、歩いて登る人の姿もあるが、往復700円、片道400円だから、この際ラクチンコースにしよう。

頂上に天満宮が祀ってあり、後方の大岩に登ると素晴らしい展望が広がっている。

谷川岳は雲の中。

遊歩道で1502mの最高峰の展望台に登り、方位盤を見ても、なじみのない山名ばかりだ。
富士山も見えるらしいが、遠望はモヤッていて視界は効かない。さあ降りよう。


山岳資料館に寄る。谷川岳に関する写真、貴重な山用品,故人の遺品などが展示されている。ここで予定していた温泉の割引券をいただく。
9:15 谷川岳とお別れだ。帰り道次々と車が上がってくる。登山者も続々と登ってくる。
今日は土曜日、谷川岳はすごい人だろうな。
9:30 湯テルメ谷川。550円が200円に割引だ。

露天風呂は渓谷の近くまで降りていく。

帰りは最短距離の関越・上信越・長野・中央・名神・中国・山陽経由で、高速のみ675キロ。
行きの北陸・関越経由より42キロ短い。ただ中央道と名神の渋滞が懸念されたが、意外と順調に走れ、19:30自宅に帰ってきた。
谷川岳、もう行く機会はないと思うが、とってもいい山だった。
7月9日 山行から帰った時は異常なかったが、谷川岳山行前日に靴を見たら、左右とも前がパクリ。
もう7~8年はお世話になったかなあ?
日頃あまり手入れしないので相当傷んでおり、そろそろ寿命が来るとは思っていたが、登山中でなく良かった。

(参考データー)
7月14日
自宅4:25⇒姫路東IC4:35(山陽・中国・名神・北陸・関越)水上IC13:05
7月15日
山の家5:00⇒ロープウエー駐車場5:05→登山口5:15→西黒尾根ガレ沢の頭8:00→(途中朝食・大休止など)→トマノ耳10:20~10:25→オキの耳10:40~11:15→一ノ倉岳12:30~12:45→肩ノ小屋14:20
7月16日
肩ノ小屋5:25→天狗のとまり場5:55~6:20→穴熊沢避難小屋6:45→ロープウエー駅7:25
ロープウエー駐車場9:15⇒温泉9:30~10:30⇒水上IC10:40(関越・上信越・長野・中央・名神・中国・山陽)姫路東IC19:10⇒自宅19:25
(走行距離 約1420キロ 歩行距離約10.5キロ 累積標高差 約1670m)

