みちくさおじさん山を歩く

キレイ!樹氷の伊予富士

伊予富士(1756m) 高知県いの町・愛媛県西条市 2010・2・5(金) 天気・快晴 メンバー3人

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先日、三草アルプスに行った時、Uさんに、以前に行かれた伊予富士の樹氷の写真を見せていただき、お誘いを受けた。その美しさに、私もなんとしてもこの目で確かめに行かなくてはとチャンスを狙っていた。
冬型の気圧配置で北寄りの風が吹き、勤務の休みの日、それが条件になるが、その日がさっそくやってきた。
待ち合わせ場所の姫路BP・姫路SAを6:15に出発、山陽道姫路西ICに入る。そして少し走ってから、しまった、忘れ物だ!と気がつく。しかしもう遅い。あ~あ またやっちゃった。
吉備SAで確認するが、やはりない、アイゼンが・・・頂上直下の激斜面が頭に浮かぶ。幸いKさんが縄を持っていたが、細くて頼りない。「農家を探して縄をわけてもらったら?」ということになり、8:45 松山道いよ西条ICを降りる。

R11からR194に入り、少し走ると道沿いに大きな石屋さんがあった。植木に巻く縄があるはず、と飛び込む。
おじさんが「うちは石屋だからホームセンターに行ったら?」「登山靴に巻くだけだから少しでいいのです」と事情を話すと、「少しだけならあるから」と納屋に案内していただく。
助かった、未経験だけど縄は雪道に強いと聞くし、実際歩いている人を見たこともある。これで登れるぞ!元気が出てきた。

5.4キロ程の長い新寒風山トンネルを抜け高知県へ。すぐに左折して旧R194でバックする形で旧の寒風山トンネルに向け、標高差400mほどを約7キロの、曲がりくねった道のりで駆け上がる。積雪、凍結を心配していたが、心配御無用で茶店のあるトンネル入口の登山者用のPに着く。9:15だ。平日だというのに、5台程車が停まっている。この旧R194は愛媛県側は通行止めだ。
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ここから最短で石鎚山に向かう瓶ケ森林道が分岐するが、冬季は通行止め。
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9:50 支度をして茶店横の登山口へ。駐車場には雪はないが、登山口に積雪ありでアイゼンを付ける。私は縄靴デビューだ。さてさて 無事に帰ってこられるか・・・・
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ゲートの横から登山道は始まる。
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しばらくは樹林帯の道だが、冬枯れの木々の間から、南東方面の景色が開ける。何気なく撮った尖がった山は、あとで調べてみると冠山1732mで、写真では切れているが右に行くと、登ってみたい平家平がある。笹ケ峰から続く尾根道、そのうち歩いてみなきゃ。

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自然林の中の道が笹原になると、視界に寒風山が飛び込んできた。キレイ!思わず歓声があがる。夏山は3度来ているが樹氷の寒風は始めて。
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10:40 桑瀬峠に着く。ここで寒風は北へ、伊予富士は南と方向が別れる。夏道ではどちらも1時間半ほどの道のりだ。
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縄が気になるが、今のところしっかり雪面をとらえている。伊予富士に向かう尾根道、どんな世界が待っていてくれるか・・・
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振り向くといつも寒風山の姿が。となりに笹ケ峰が見える。その右にちち山。
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青空に映える樹氷。
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樹氷のトンネルがいくつもある。
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北側の斜面には樹氷がビッシリ着くが、南側は笹原。この対比がこの尾根の特徴だ。このような両極端な斜面を持つ山はそうないだろう。樹氷側は愛媛県、笹原側は高知県で県境尾根になる。
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1630程のピークを過ぎると、待望の樹氷に包まれた伊予富士が姿を現わす。キレイ!歓声があがる。
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小ピークからコルに下り、いよいよ最後の180mの急登にアタックだ。見上げる頂上は激登りの遥か彼方だ。今のところ縄の効果はアイゼンの役目を十分に果たしている。
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まだスペアの縄はあるし、何とかなるだろう、と斜面に取りつく。激登でふと下りは大丈夫かいな、と心配になるが、女性二人も頑張っている事だし、とにかく登らなくっちゃ。

頂上が近付くと「何人ですか?」とふいに上から声がして、一人の男性が私たちにカメラを向けてしきりにシャッターを切っている。まさかピッケルを手にした縄靴の、変な男に興味を持ったんじゃないだろうな?

12:05 ようやく頂上にたどり着く。「どちらからですか?」
ニコニコしながら中年の男性が話しかけてくる。山なれた雰囲気の、感じのいい人だ。

「姫路です」「テレビに映ってもいいですか?」「テレビに?いいですが」・・・と答えると「姫路から3名登ってこられました」と録音している。「どちらの局ですか?」「南海放送です」南海放送は松山の局だ。
お名前はSさん。話をすると主に山の写真やビデオを局から委託されているそうだ。
(美女二人に野獣一匹?、コレコレなんという失礼な!) 松山ローカルじゃ姫路に届かないや、残念!

300名山・伊予富士頂上。
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大展望よりおじさんとの話が優先してしまったが、360度の素晴らしい眺めだ。視線はまず東の寒風山(1763m)にいくが、笹ケ峰(1859.6m)ちち山(1855m)と一体化している。左は沓掛山(1691m)だ。
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西に延びる細い尾根。歩いてみたい尾根だ。南側は笹原で風のあたる北側は樹氷の花が咲いているはず。中央やや右、雲に覆われているが、かすかに石鎚山が見える。左下は瓶ケ森林道。
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堂々とした存在感を示す西黒森(1861m)、その後方雲に頂上を隠した瓶ケ森(1896.2m)。ここから4時間ほどの尾根歩きだ。
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瞬間、石鎚山がボンヤリ見えた。
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Sさんの「縄より刃があるスノーシュの方が安全ですよ、一緒に下りましょう」との言葉に甘え、スノーシュを貸していただく。Sさんは12本のアイゼンだ。食事を済ませいよいよ下山の準備だ。
12:50 激下りスタート。女性の6本爪のアイゼンは急斜面の下りはちょっと不安。Sさんには勝手知った山なのでアドバイスをお願いする。「ここで過去何人かが転落した」とSさん。お借りしたスノーシュは狭い樹間の通過に四苦八苦でもてあまし気味。手にする物のない急斜面はスノーシュでは不安定なので尻スキーだ。

樹氷のトンネルの激下りを横になり、慎重に下っているところ。凄い斜面です。
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サンゴ礁のようにも見える樹氷。ササの葉一枚まで樹氷が付いている。
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激下りも終わり桑瀬峠まであと少し。トップを歩くSさん、ありがとう。
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14:15 峠着。もう危険個所はない。
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14:45 駐車場に無事降りてきた。何台か停まっていた車の人たちは寒風山行きで、伊予富士はゼロだった。展望東屋でコーヒーをいただく。もちろんお世話になったSさんもだ。最後に名刺をいただく。
15:20 誰もいなくなった駐車場を後にする。
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新国道に出る直前にとってもいい温泉がある、とUさん。道沿いなので便利がいいが、残念!冬季閉鎖だった。一の谷やかた温泉。帰ってHPを見ると、入ってみたくなる素晴らしい温泉だ。
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新寒風山トンネル高知県側入り口から桑瀬峠あたりを見上げるが、わかりずらい。右のガードレールの向側が旧国道で登山口に登る。一の谷温泉はすぐそこにある。
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帰り道にある温泉といえば何度か入ったことがある「湯之谷温泉」が近い。有名な温泉だがお叱りを覚悟でいうと、正直汚らしい?感じでシャンプー類もないし,銭湯と同じだ。そのかわり360円と安い。入るなり「お泊りですか?」と聞かれる。旅館も兼ねているのだ。
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16:45 温泉スタート、19時半頃姫路に帰ってきた。

いつまでも記憶に残るだろう、素晴らしい樹氷の山だった。しかしあまりの急斜面のため途中で帰ろうと思った、とUさん。食事中も下山が心配で味もわからなかったそう。 私もです。それと私のアイゼン忘れで登るのは無理、と思ったそう だ。うっかりミスでゴメンなさ~い。

(所要データー)         
姫路SA 6:15⇒R2・29⇒山陽姫路西ICより山陽道⇒松山道・いよ西条IC8:45⇒R11・194⇒寒風山トンネル出口より旧R194寒風山トンネル南口・寒風山駐車場9:15
スタート9:50→桑瀬峠10:40→伊予富士頂上12:05~12:50桑瀬峠14:15→駐車場14:45
駐車場15:20往路引き返しR11沿い湯之谷温泉 16:00~16:45⇒姫路19:10
(走行距離510キロ 歩行距離 約7キロ 歩行時間 休憩含め5時間 標高差640m)


         

by hotaka443 | 2010-02-05 22:30 | Comments(0)